07 12月

読売新聞 大阪朝刊 平成17年2月8日  津波から住民救った名作 小泉八雲の「稲むらの火」、小学道徳副読本に

津波から住民救った名作 小泉八雲の「稲むらの火」、小学道徳副読本に
大阪読売新聞 平成17年2月8日 朝刊

 ◆新年度から 復活望む教諭の声受け
 一月に神戸市内で開かれた国連防災世界会議で、小泉首相が演説の中で防災のモデルケースとして紹介した小泉八雲原作の「稲むらの火」が、新年度から小学六年の道徳副読本に掲載される。東南海・南海地震に備え、津波の恐ろしさを伝える〈防災用教材の名作〉の復活を望む教諭の声が届いた。昨年末のインド洋津波では、タイ・プーケット島にいたイギリスの少女が地理の授業で習った知識を生かし、観光客らを救った例もあり、教育現場で改めて見直されそうだ。
 「稲むらの火」は、地震後の引き波で津波を察知した庄屋の五兵衛が、高台の稲束に火を放ち、火事と思わせて村人を集め救った物語。一八五四年(安政元年)の南海地震での実話がもとで、和歌山県の教諭が書き直した作品が一九三七年から十年間、小学五年の国語の国定教科書に載った。
 この作品をもとにし、東京の教科書会社が八一年から十一年間、道徳副読本に掲載。今回は教育出版(東京)の副読本「心つないで」に復活する。関東の教諭らから「地震への心構えとして再掲を」との声を受けて昨春、決めたという。
 インド洋津波では、浜辺にいた十歳の少女が、潮が急に引く様子に「津波の前兆」と直感。母親に避難を告げ、観光客ら百人以上を救ったと報じられた。二週間前、津波について習ったばかりだったという。
 政府の地震調査委員会委員長、津村建四朗さん(71)は「国内ではいまだに、津波警報が出ても逃げない人が多い。教育の積み重ねが、国の防災力を底上げすることになる」と再掲を評価している。
 また、八雲のひ孫の小泉凡・県立島根女子短大助教授(43)は「こうした民話形式で学ぶと、子供たちの記憶に残りやすく、想像力をはぐくむこともできる。八雲は、文学的な視点から人を思いやる大切さを訴えただけでなく、ジャーナリストとして自然災害の恐ろしさを見過ごせなかったのだと思う」と話している。

この記事は、読売新聞社の許諾を得て転載します。

-編集後記-
東日本大震災前の、2011年2月14日に放送されたNHKの当時の「スタジオパーク」の「暮らしの中のニュース解説」で山崎登論説委員によっても、イギリスの女子が授業で習った知識を生かし、観光客を救ったことが伝えられた。NHKのアーカイブでも内容はご覧いただけるのですが、事前承認なしではNHKのtッップぺージにしかリンクは張れないようなので、ご興味のある方は稲むらの火の「ウィッキペディア」からアクセスしてください。