16 12月

児童防災教育の意義

学童防災教育の意義
「防災教育研究資料」1985年3月10日より
林 知己夫

 防災教育の目標
 防災教育の目的は,

1.地震等の自然災害発生時,学童(幼,小,中,高)が自らの生命・家族・その他の身のまわりの人々の命を守り,さらに第二次災害の発生と拡大を抑止する対処行動を行うことを可能にするための効果的な防災教育。

2.教育訓練の経験が成長後も持続し,日常生活に定着し,防災に対する社会的コンセンサスの形成に役立つための効果的な防災教育にあるが,これを家庭との関連性において、地域祉会、さらにひろく社会的関連において、学校教育の場で達成せしめることが肝要である。
 この必要性はあえて言うまでもないが,防災教育の多くが当面の防災という立場のものが多く,不十分の感をまぬがれない。自然災害の与える様相は多種多様であり、かつ白然災害は一過性のものではなく、永続性であることを考えると,日本のように自然災害の多い国においては、長期的視野に立つ基本的にしてかつ有効な対策は,幼年時からの学童に対する防災教育を行うことであると考えられる。年少世代を対象とする教育の徹底は,防災に対する態度を「習い性」とすることができる。こうした教育はその個々の防災の内容が役に立つことはもとより,そこで身を守りうるという”自信”が冷静な判断や機転による活路発見に役立つと考えられる。このような”自信”を育て,さらに「生命を守る」「助けあい」など、高次の徳目を合わせた望ましい態度の形成には,学校における組織的教育が効果的であり,学校での防災教育の改善,充実から得るものは大きいといえる。こうした観点に立つとき,今日の防災教育は一般的に見て眼先のものであると考えられ,我が国の自然災害を考えるとき、上述の年少世代からの、深い長期的で有効な防災教育の必要性が痛感される。
 防災教育は,学童の心身の発達に応じて効果的に行うことはもとより当然のことでありながら,これが知育の観点、体育の観点からのものに偏り、知情意の発達と現状のバランスに基づいた総合的観点から、意図的に行われているものは意外に見かけない。ここが重要なことであり、前述した観点及び知情意の発達の観点からの防災教育のハイライトは、小学校6年生もしくは5年生にあるのではないか、と思っている。ここにおいての心身を揺るがす教育が肝要であり、このためのイベント作りが必須となろう。もう一つは教育する方の側の問題である。教師における防災教育の重要性に対する心からの認識,それに基づく情熱がなくてはならず,この上に立っての創意工夫が大事なことになる。
 この両者にわたる教育が,いかにあるべきかを考察することが防災教育の核心であり,このため研究が進められねばなるまい。こうした結果が普及により現場に還元され,教育実施に基づく修正を可能にするフィードバック回路の設定も重要なことになろう。防災研究会設立と活用の意義が,ここにあるものと思う。

1.防災教育の基礎
防災教育の意義については,以上のようであるが,これを踏まえて防災教育の基礎について,調査データの上に立って考えを述べてみたい。

 1)基礎調査からの情報
 まず私どもが,地震災害に関する一般的な調査を,熱海地方において二回行った結果について述べてみよう。地震災害の程度としては大地震(マグニチュード8程度)を想定して回答させた。質間は,主として,災害体験,生ずべき危険の心配に関するもの,備え,身を守れる自信,混乱予想,防災訓練への関心(参加,評価),その他行政の行う施策に対する要望を中心とする調査を行った。分析する前にここうした事態の発生を予想したときの回答の信頼性をたしかめるために,パネル調査を実施してみた。二回目の前に地震発生が近いと言う情報を流したものがあり,ために地震への関心が増大したこともあり,回答の意見分布が異なったものがある。ここでは意見の周辺分布の同じもので,何%のものが同一の回答をしているかによって,こうした質問の信頼性を測ってみることにした。総括的に言えば,回答の一致率は低かった。これは通常の調査での一致率70~80%にくらべずい分低く,この種の調査の回答の信頼性については十分注意する必要があることが解った。  大地震の起こったとき発生する心配がある,についてみると,「自動車の衝突や燃焼」で45%,「地割れ」54%,「大地震が起きたとき落着いて行動できる自信」は5段階評定で46%,一段階の差を無視したとき81%と言うようになる。一問ずつの回答は不安心なので,数問を総合してものさし(スケール)を作った場合一段階の違いを無視すると,経験のスケ一ル(もとは全体で8カテゴリー)で86%・白信スケール(もとは全体で5カテゴリー)で84%,自信スケールを弱い,強いの2カテゴリーに纏めると79%と高くなる。
 こう見てくると,質問項目をスケールにまとめ,傾向をみるというのが信頼性が高いということになり、こうした分析が望ましくなる。単問での一段階違いの分析は、異質なものを併せることにもなり分析方法も難しく,また内容に不安が出るがスケ一ルの場合には,もとのカテゴリーが大きくなるので,近いものを併せることには大過はない。
 スケールと言う言葉を使ったが,最初に述べた諸項目(数問の質問を含む)について妥当な物差しが出来るかどうか。これは,数量化Ⅲ類により検討すべきものであるが,実行したところ,きれいなスケ一ルを作ることが示された。も難しく,また内容に不安が出るがスケ一ルの場合には,もとのヵテゴリーが大きくたるので,近いものを併せることには大過はない。
 スケールと言う言葉を使ったが,最初に述べた諸項目(数問の質問を含む)について妥当な物差しが出来るかどうか。これは,数量化Ⅲ類により検討すべきものであるが,実行したところ,きれいなスケ一ルを作ることが示された。
以下省略