07 12月

読売新聞 昭和58年5月26日 夕刊   「東北に大地震」

津波、火災、各地で発生
死者、不明42人に
秋田重油タンクも炎上

 二十六日正午ごろ、秋田県沖で大きな地震が発生、秋田市や青森県むつ市で震度5の強震を記録したほか、東北地方各地でも、中、弱震を感じた。気象庁は、北海道から山陰にかけての日本海沿岸に大津波警報を発令。警察庁、自治省消防庁も、それぞれ「秋田沖地震津波災害対策本部」を設置、被害状況の把握に乗り出した。午後一時、警察庁に入った報告では、秋田県・男鹿半島で、遠足の小学生が津波に襲われて一人死亡、十三人が行方不明。秋田市の東北電力秋田火力発電所など三か所で火災が発生、青森・新潟でも石油コンビナートのパイブが破裂して油が流出するなど、被害が続出している。また、青森県浦村の十三潟河口付近で釣り人八人が不明、鯵ケ沢村でも堤防の護岸工事中の作業員二人が波にさらわれ死亡しており、同一時半現在、死者・不明は計四十二人にのぼった。(関連記事14、15面に)

M7.7 秋田震度5  30年ぶり大津波警報

気象庁の観測によると、霞源地は、秋田県沖北緯39.9度、東経138.1度の日本海で、震源の深さは約40キロ。マグニチュドは、7.7を記録、さる五十六年の宮城沖地震(同7.4)を上回る規模だった。
同庁は同日午後零時十八分、この地震により、北海道、東北、中部の日本海沿岸で「津波が予想される」として大津波警報を発令、また、北海道の太平洋沿岸、能登半島の西海岸、石川、福井県の沿岸に津波注意報を発令した。
東北地方の日本海側では、約三メートル以上に達する大津波も予想され「北海道、中部地方の日本海側では津波の高さは、高い所では約二メートルに達する見込み。

気象庁に入った連絡によると、午後零時十二分、青森県深浦で津波の第一波が観測され、二十九センチ潮位が低下、零時四十分までの津波の高さは最大三十三センチ(零時十六分に記録)となった。
また、午後一時までの間に東北、北海道を中心に、十一回の余震があった。このうち、同零時三分の余震では、青森県深浦、むつで、同三十九分には再び、むつで弱震、同五十九分には青森、秋田でやはり弱震を記録した。この地震について、気象庁は、地震の前ぶれとなる前震が観測されていないことから、突発性の地震と見ている。
警視庁が午後一時半現在でまとめた秋田沖地震の人の被害は、死者四人、行方不明三十八人となっている。

遠足学童14人海へ

秋田県警に午後一時三十分入った連絡によると、男鹿市加茂海岸に遼足に来ていた北秋田郡合川町の合川南小の児童四十三人が高波に襲われ、二十九人を救助したが、このうち三人が意識不明。残りの十四人は行方不明となっている。

読売新聞 日本海中部地震 夕刊
読売新聞社の承諾を得て、転載しています。

-編集後記-
 「文豪ストレイドッグス」という文豪がキャラクター化されていて、キャラクターに対応した能力を用いて戦うアクション漫画があるらしい。若い世代に興味を持たせるには、漫画のような媒体(ストーリーも時代を反映したものにしないとならないだろうが)を利用することも必要かもしれない。津波に関しても、「日本海中部地震」を題材にして矢口高雄氏が書いた「激濤」という三巻完結の作品がある。その第一巻では、1341(暦応4)年に青森県で発生した「十三湊の大津波」(一瞬にして十三湖の街を呑み込んだと言い伝えられていた)、1804(文化元年)年に山形県の酒田沿岸に3-4メートルの津波を発生させた象潟地震、1964(昭和39)年の新潟地震のことが、過去の同じ地域に津波被害を与えた三つの地震のことが紹介されている。津波が発生した三つの地震が600年以上の間隔であることから、「これでは日本沿岸の住民の生活習慣のなかで、『地震即津波』という感覚は育たなかったでしょう」というセリフが挿入されている一コマもある。
 やはり、自然災害を捉えることでは、自らの体験ではなくても、その体験の密着した理解を共有することが必要ではないだろうか。

矢口高雄 激濤 1990年7月